『ガリンペイロのすべての若き野郎ども』
FMたまん（76.3MHz）毎週水曜21時から55分間の生放送！

ニューヨーク・パンク代表格「テレヴィジョン」のトム・ヴァーレインが亡くなった。
そこで今夜は彼が率いたテレヴィジョン
1stアルバム「マーキー・ムーン」（1977年）から曲をお届けします。



何をもってパンクと呼ぶのか？
難しいところですが、元祖はサウンド的にはストゥージズ、姿勢はMC5、ド派手さはニューヨーク・ドールズといったところか。
以降、70年代に登場した彼らのような要素を持ったバンドがニューヨーク・パンクの系譜として語られます。
ドールズのマネージャーだったマルコムが、そののちに渡英した際、ドールズの曲をコピーさせ、言動をマネさせて売り出したのがセックス・ピストルズということになります。

洋楽を聴いている人にニューヨーク・パンクの女王は？と問えば、すぐにパティ・スミスだと答えるでしょう。
当時、テレヴィジョンのトムと恋人同士だった二人は共作も共演もしているし、マクシズ・カンサス・シティやCBGBといったニューヨークの箱に出演しているバンドたちの中心人物でした。
でもなぜかパティを熱く語る人には沢山出会いましたが、テレヴィジョンを熱く語る人にあまり出会ったことがありません。
これほど素晴らしいバンドが、日本で一般の人にあまり知られていないのか。

やはり全盛期に2枚のアルバムしか残さなかった事と、パンクくくりがあるでしょう。
テレヴィジョンをパンクだと紹介されて聴けば、ナニコレ？思っていたのと違う！ということになります。

さて、テレヴィジョンはいくつもデビューの声が掛かる中、じっと待っていました。
彼らはドアーズと同じエレクトラからのデビューを熱望したからです。
そのためにデビューが77年になっています（エレクトラからデビュー）。

冒頭に書いたように77年はピストルズの出現でロンドンパンクが大爆発！
良くも悪くもパンクロックというジャンルで括られていきます。

テレヴィジョンがもっと早くデビューしていれば違った運命だったかもしれません。
ブライアン・イーノが75年にテレヴィジョンのデモ録音をしたのが海賊版で出てきていますが、
イーノがトーキングヘッズと組んで大成功を収める訳ですから、もし、テレヴィジョンとガッツリやっていくことになっていたら、歴史が変わっていたかもしれません。

テレヴィジョンの曲は、単純なパンクサウンドではありません。
当時言われたジャンルのパンク～ニューウェイヴなんて、よく分からないくくりからも逸脱しています。

そう！　デビュー作でこれほど完璧なアルバムはありません。
エレキギターのリズムとオブリとソロが気持ちよく絡む様、それを支えるドラムとベース。
ライヴでいくつもの山を越えてきたのが分かります。
そして細部まで拘った曲構成！　できるだけ爆音で聴いて欲しいというトムの気持ちが分かります。
スーパーギタリストというのは、何もテクがズバ抜けている人だけに使うものではありません。
トムのギターの素晴らしさについては、僕が語るよりパティ・スミスが多く語っています。参考にしてください。

長くなったのでこの辺で結論を言うと、ジャンルなんて枠はいりません。
テレヴィジョンは70年代最高のロックバンドの一つでした。
46年前とは思えない、色あせないサウンドが、それを証明しています！

時間の許す限り曲を掛けて参ります。
今週も宜しくお願いします！